茗渓の独り言(コラム)

里山1000年構想

SATOYAMAイニシアティブ推進ネットワークの実例見学会という事で、週末に岐阜県美濃加茂市の施設を見学してきました。

美濃加茂市では里山が荒れた時期があり、その事が原因で竹が繁茂して木を枯らして森を占めるところまでいって、里から人家付近にまで達した頃からイノシシによる被害が見られるようになったとの事です。

そこで竹を伐採してイノシシを森に返すというビジョンの下、県と市が一体になって里山の再整備に取り組んでいらっしゃいます。

森林組合も前向きだそうで、伐採した竹の破砕粉末を使った遊歩道整備は反発性もあって足腰の負担が軽減されるので高齢者の運動施設にはぴったりですし、地域木材を使った小学校の机プロジェクトは素晴らしいものがあります。

プロジェクトとは、6年生が新1年生の為に地元材の天板を机に取り付け、その机を1年生は6年間使用します。(高さ調整出来るらしい)
卒業時に天板はペンなんかの文具になり記念品として渡され、また新1年生のために天板が取り替えられます。
プロジェクトが始まって4年目だそうで、これからの拡がりが楽しみです。

それに「森のようちえん」と題して、市の職員有志が幼稚園児らを引率して森の中に入り色々な事を体験させる中で、自然との触れ合いや人とのコミュニケーションの取り方を教えるという企画も凄く感心した次第です。

ここでも中部電力や楽天といった大手が里山保全に手を貸しているそうで、大手による社会還元活動は目立たない所でも地道に進められている点も勉強になりました。

「カネだけ・今だけ・自分だけ」という風潮も片方ではみられるなかで、こういった拡がりが増えていき、デュアルライフの波と相まって地方が活性化するといいなと思っています。

2019.03.12 HT

学会に参加してみませんか?

学会といえば「肩が凝りそう」「難しそう」と思われるかもしれません。
しかし、中には生活に密着したテーマを扱うものもあり、シンポジウムであれば専門的な知識がなくとも理解できるものが少なくありません。

当社がおススメしたいのは、日本不動産学会と日本都市計画学会です。

自分の住む建物や街、都市の未来について話し合われる学会ですから、きっと興味を持っていただけるのではないかと。

今年の秋季大会の開催地は以下の通りです。
是非、お出かけになってみてください。

【日本都市学会】
◆11月17日(土)~11月18日(日)  ※11月16日(金)はエクスカーション
◆大阪大学 吹田キャンパス
◆学会URL 日本都市計画学会

【日本不動産学会】
◆11月24日(土)~11月25日(日) 11月23日(金)はエクスカーション
◆明海大学 浦安キャンパス
学会URL 日本不動産学会

2018.08.01 HT

筑波大学発ベンチャーとして

1980年代のまま進化が止まっているサイエンスシティというのは矛盾のように聞こえ、徐々に活気を失っているつくばセンター界隈。これを悩ましいと思っている同窓は意外に多いのが現状です。
先日も後輩たちの就職やキャリア支援で大学に戻った数人の同窓生との懇親会があり、その席上で『今のつくばと大学をどうしていくべきか』という話題が出ました。

これまでに西武百貨店跡をベンチャー拠点にするためのクラウドファンディングといったような刹那で局所的な動きはありましたが、ヒト・モノ・カネが上手く連動しなければ沈降しているものを再浮上させることは出来ません。
社会の第一線で活躍している同窓がそうした議論をしながら酒を傾けているうちに、一つの方向性が出ました。
少し格好が良すぎるかもしれませんが、つくばセンター界隈をオックスフォードと同じような都市形成にすべきというものです。

オックスフォードは街自体が大学と混然一体になっており、店の2階が教室になっていたり学食で近所の人が食事をしている姿が普通です。
筑波大学は元々何もないところに造ったこともあって、学内にスーパーや理髪店があった時期もあり、学生寮だけでも未だに4,500室を抱えて全ての寮に浴場がありました。つまり小さな街を抱えている状態で学内で全てが完結してしまうので、「開かれた大学」という枕詞はありますが外部交流が極端に薄くほぼ閉じている現実があります。
これを強制的に変えていこうというのが今回打ち出されたものです。

これを地元事情に合わせながら磨いて馴染むようにしていくのが当面の課題となります(来夏には視察に行こうという話も出ています)。混然一体となった街にLRTや自動運転の無人バスが走っているハイテク都市という姿が、懇親会で話された最終形。

酔いが醒めた今、その具現化や可能性に向けた計算が始まっています。

当社は、そんなつくばの課題対処を見越して作られた会社で、筑波大学発ベンチャー企業のなかで唯一のモノづくりやシステムの開発が絡まないという珍しさがあります。
不動産と言えば「悪徳」が頭に付くようなイメージの悪い業種です。しかし本来は法や経済、建設・土木・環境、社会行動や交通といったものを包含する学際的なもので、海外では不動産学という学問領域もあって金融を扱うのと同じように高度で難しいものとされています。

不動産を動かすというのは単に売り買いするだけでなく、色々な事象を整理して持主が変わっても支障なく地域に溶け込みながら使えるようにするということ。
そのために、調整者として高度な学識経験を持って事に当たるという部分が大学発として認められた要因となっています。そして、来るべき大学の構造変革のときに実力を発揮するように。これが承認を受けた当時に付された条件でした。

こんなこともあって、当社のスタイルは産・官・学の連携に基づく事実と知恵の積み重ねに重きを置いており、メンバーには得意分野の学会所属を義務付けて必要経費は会社負担としています。
といっても不動産絡みの学会に限定している訳ではなくあくまで得意分野なので、仮に音楽の学会があればそれでも構いません。全員が何かについて粘着質に研究することが重要だからです。

そんなメンバーにとって今来月は秋季大会のシーズン。勿論費用は会社負担で、多い人は5学会参加のために地方巡業しています。旅行のようになってしまいますが、地方に行って色々なものを見て来るのも立派な仕事。そこで見たものが仕事のヒントになるかもしれない。

そんな「何でもアリ」で話をしながら進めていくラボのようなスタイルで仕事を行っています。

2017.11.20 HT

『監査は誰のもの?』~企業会計と環境リスクについて~

私たちは工場、物流施設、営業所、店舗などの会社事業を支える不動産の取引や利活用過程で、不動産の土壌・地下水汚染の評価と対応の違いが企業経営に大きく影響する場面を数多く目にしてきました。

そして、不動産の当該リスク対応と企業経営への影響を検討する中で、企業価値の維持と社会的評価や風評対策を模索・腐心される経営者のご相談に携わってきました。そこで、経営者にとって次の三つの大きな壁が立ちはだかることに気づかされ、日夜その解決策に取り組んでいます。

①一つは不動産を有効利用するためには土壌・地下水汚染の調査や浄化対策をどの程度対応すべきか
②二つ目は、土地利用に見合う環境対策方法とコストはどうすればよいのか
③三つ目は、企業会計上当該不動産の評価と関係費用の取扱方はどうなるのか。

企業の土壌汚染対応状況をみると、2003年2月に土壌汚染対策法が施行され、その健康への影響や対応策についてかなり柔軟に受け止められるようになってきました。しかし、未だに、土壌汚染の健康への影響や被害の実態を冷静に生活者の目線で受け止めることなく、環境関連企業のアドバイスのもと『汚染状況調査後法令に従って浄化する』方法が経営者の王道として認識されているようです。
そのため、不要または過剰なリスク対策により企業経営の非効率化や不振を招いたり、費用負担の目処が立たないため、折角の資産が放置・死蔵されて、企業にとっても社会にとっても勿体ない不幸な結果となるケースが散見されます。

土壌汚染対策法が施行されて10年以上が経過し、リスクを管理しながら土地利用を図る、つまり、リスクの完全除去より『リスク管理=リスク共存』への理解が徐々に広まってきており、法令遵守のもとで健康被害をもたらさずに土地が最も有効に機能するようなリスク対策を検討するケースが徐々に拡がりつつあります。しかし、この動きはまだ一部のデベロッパーに限られ、投資家、金融関係、一般社会への浸透にはまだ時間が必要なようです。

上記の動きの中で、汚染の拡散防止等、汚染リスクを適法・的確に自社管理してその責任を全うするなら、上記①については時間及び関連コストを削減すること、②についても、当該土地の市場性を考慮した工夫が可能になりつつあると考えています。しかし③については、企業業績及び価値評価の基となる財務諸表作成の基準となる企業会計で、企業活動のグローバル化の進展に伴い環境リスク対応ルール※が導入され、それが上記課題解決の足枷になるケースに遭遇しています。
※ 時価会計、減損会計、資産除去債務 等

投資家や広くステークホルダーに企業経営の実態と企業価値を伝えるため、企業の会計を指導・監査している公認会計士が投資家等に時価(現在価値)主義のもとで企業の価値(資産評価)情報を提供するとの錦の御旗の下で、『土壌汚染があれば現状ないし将来にわたる処理費用を最大リスクとして資産価値評価に入れるべき、ないし汚染があれば一旦利用価値ゼロとし、利用価値と対応コストを認識できたところで再評価すべきではないか』等、保有資産を有効活用して事業と企業価値向上を図る経営者の努力に水をさすケースが出てきています。

公認会計士は不動産活用(当該事業経営)や土壌汚染対応の専門家ではありませんので、短期的に確度の高いこと以外はリスクと捉える傾向にあり、中長期的な経営戦略に立った企業価値評価(経営目標)とは乖離した視点に立つことになり、事業リスクテイクしながら企業の発展を目指す経営者との調整に苦慮することになります。
事業資産を活用するには、明らかに目途が立たなく遊休化せざるを得ないものを除き、それなりの時間とトライアンドエラーが必要となります。
この事業展開と会計基準の時間軸との評価軸が調整されない限り、この問題の根本的解決は難しく、個々の事案の処理として、私たちのようなこの分野に広いスパンで関われる者が携わることになります。

企業経営では、上記企業会計問題に続いてガバナンス関連事項の強化が進んでいる最中、富士ゼロックス、東芝、日産、神戸製鋼所と大企業のガバナンス問題が発覚していますが、私たちは、その重要な背景の一つに、上記の企業会計制度が経営者や現場に投資家への利益還元に特化した短期的実績重視の成果要求に繋がっているためではないかと見ています。

因みに、欧州では、これまでの国際会計基準(IFAS)での短期時価主義的会計処理について、企業の事務負担(社会的コスト)や本来の企業経営目的・理念とのや乖離や対立を回避する方向の見直しの動きがあり、ドイツでは株式上場企業の『市場撤退=有限会社化』の動きも出ています。(同国では有力企業の非上場有限会社が多い)。
わが国でも上記会計制度の浸透に対する経済界から同様の要望があり、関係省庁の指導にも変化が出てきています。

以上のような環境の中で、私たちは、企業経営の目標実現に向けた幅広いステークホルダー対応を実現するため、環境技術・法令・各種社会制度・企業会計等を広く踏まえて経営者及び社会の負託に応えていけるよう努力していきたいと考えています。

2017.10.20 ZS